研究課題/領域番号 |
60570862
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
土井 豊 朝日大, 歯学部, 助教授 (40116067)
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研究分担者 |
下川 仁弥太 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (80014257)
森脇 豊 朝日大学, 歯学部, 教授 (90028738)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | エナメルタンパク / アメロジェニン / エナメリン / 石灰化制御タンパク / 核形成能 / エナメル質の成熟 / アパタイト結晶性 / タンパク脱却とアパタイト結晶成長 |
研究概要 |
これまでの研究により、高分子量アメロジェニンおよびエナメリンには歯質アパタイトの結晶成長を抑制する能力があることが明らかにされている。この抑制能力は、石灰化溶液の過飽和度に若干依存することから、カルシウムと結合したタンパクは結晶成長の抑制能力がフリーのタンパクに比較してかなり弱い事も明らかにされてきた。過飽和度が高いと、エナメルアパタイト結晶上に無配向に新たな結晶が析出し、時間と共に一部はこの結晶から離れて結果的に核が増大しながら石灰化が進行するが、この時上述のタンパクが存在しても、成長速度はタンパク量に比例して遅くなるが、成長過程それ自身には影響を与えないことが明らかとなった。さらに、過飽和度が低い場合には、エナメルアパタイト結晶の基底面から成長が始まり、a軸よりもc軸に結晶成長しやすいことが示された。この系でエナメリンの濃度を一定とし、アメロジェニンの濃度を変化させると、アメロジェニン濃度が低い程、エナメルアパタイト結晶は成長しやすいことが確められ、in vivoにおけるアメロジェニンの脱却と歯質の成熟との間にある関連性がin vitroにおいて立証された。さらに、特殊小管セルを用い、石灰溶液の過飽和度を一定にした実験では、37℃、PH7.40の条件で一週間後には、種結晶として導入したエナメルアパタイトはC軸に平行な長さが約2倍にもなり、in vivo(ラット)におけるエナメルアパタイトの結晶成長速度と同定程か、それ以上になり得ることが示された。タンパクの抑制能は主に、タンパクのアパタイトに対する吸着能に起因するが、上記の実験で用いたのと同様なアパタイトを充填剤とするカラムクロマトグラフィーでも、高分子量アメロジェニン程、流出速度が遅くアパタイトに対する吸着能が高いことが示された。CNBrで分画したアメロジェニンはもとのアメロジェニンに比べ結晶成長抑制能力が低く特異なアミノ酸基に抑制能力がない。
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