研究概要 |
1.雄マウスの顎下腺から、実験に必要十分量のepidermal growthfactor(EGF)を精製し、それに対する特異抗血清を調製した。これらを用いて、液相二抗体法によるEGFのenzyme immunoassayを確立た。この方法での測定範囲は20〜1000pg/tubeであり、従来のradioimmunoassayと同程度、あるいはそれ以上の感度であった。 2.マウスの種々組織中のEGF量を測定した。その結果、顎下腺以外の多くの組織中にEGFの存在が確かめられた。顎下腺の場合と同様に、舌下腺と耳下腺のEGFもandrogen依存性をあることがわかった。 3.舌下腺と腎蔵のEGFの生化学的性質について検討した。分子量はいずれも顎下腺のそれと同じであり、等電点もよく一致した。さらに、逆相HPLCにより、両組織中のEGFは顎下腺のEGFと同様に、二種類の成分(α-EGFとβ-EGF)から成ることが明らかとなった。 4.成熟マウスの顎下腺を摘除すると、十二指腸と空腸の組織重量,タンパク質量,DNAおよびRNA量が減少し、これらの減少はEGFを投与することにより、ほぽ正常レベルにまで回復した。これらの結果から、顎下腺のEGFは成熟マウスの消化管(小腸)に対してtrophic factorとして作用することが明らかとなった。 5.ラット肝蔵のEGFレセプターに対する実験的糖尿病の影響について検討した。その結果、糖尿病によりレセプター数が明らかに減少し、この減少はインシュリンの投与により正常レベルにまで回復した。従って、肝蔵のEGFレセプターはインシュリン依存性であることが推察された。甲状腺ホルモンの投与は、レセプター数に対して影響をおよぼさなかった。 6.ラット肝蔵のEGF量は、実験的糖尿病により影響をうけなかった。
|