研究概要 |
1.口腔粘膜上皮細胞に対するモノクローナル杭体産生ハイブリドーマの49クローンを得た。これらの培養上清で上皮全体が染色されたものは8例,角質層のみに結合したもの9例,顆粒層〜棘細胞層と反応したもの5例,基底細胞〜基底膜に蛍光がみられたもの5例,真皮層との反応7例で残りの15例はあまりはっきりした結果が得られなかった。 2.モデル口腔粘膜真皮層はコラゲンゲル2mlに対して継代8〜25代目のヒト線維芽細胞1×【10^5】個 mlを懸濁してゲル化したものが適当であると考えられた。上皮層は皮虜クラチノサイトについては喜多野らの方法により良好な結果が得られた。口腔粘膜上皮については近温トリプシン+EDTA処理法では細胞採取量が一定しないこと,十分な細胞数が得られないこと等の問題が残されており、今後新しい酵素処理方法等開発されなければならない課題である。 3.口腔癌に対するモノクローナル杭体として1B11,4B3,N2,N4,N18,1F9,1G5および3B4の8種類を得た。これらのモノクローナル杭体と7種類の口腔扁平上皮癌細胞株(Ca9-22,NA,HSC-2,HSC-3,HSC-4,ZAおよびN.u)およびヒト2倍体線維芽細胞HAIN55との反応は以下のようであった。1B11,【N_2】,【N_4】,1F9,1G5は全ての口腔扁平上皮癌細胞と反応したがNAIN55とは反応しなかった。3B4はCa9-22のみと反応した。N18はすべての扁平上皮癌細胞およびHAIN55と反応した。また、癌組織との反応性についてはN18は癌組織,扁平上皮組織ならびに間質ともに反応した。N2は癌組織においては実質全体と一様に反応した。1B11は癌実質全体を染色したがその反応性は癌胞巣周辺部が強かった。この傾向は正常上皮組織においても同様で基底層に近い部分ほど反応が強かった。1F9はCancer pearlの部分を強染色した。正常上皮組織では角化が強い部分ほど反応性が良かった。
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