研究概要 |
骨構造の基本は骨膜,骨皮質,骨髄腔であるが、骨髄腔を形成する海綿骨は、レントゲン像では骨梁として綿状あるいは網目状パターンの形で画像上に写し出される。骨組織は常に吸収と形成を繰り返す代謝組織であり、なかでも特に海綿骨は骨代謝の変化に応じて骨塩量が敏感に変動する骨組織である。それゆえ、骨塩の定量評価に関する報告は多く、全骨量,形成量,吸収量およびその速度を計測することにより疾患の病像を客観的に評価する試みがなされている。 一般的に、歯科領域で用いられている方法はX線写真像による方法で、画像上におけるコントラスト変化、骨形態の変化などを視覚的に、また定量的に総合評価する方法である。顎骨の骨変化を規格撮影したDental写真で定量評価している報告もある。しかし、Dental写真は局所的であるため、顎骨骨梁の広範囲な検索には不適当であり、協力の得られにくい症例においては口内撮影が不可能な場合が少なくない。そして、データ解析時の測定誤差や測定値の信頼性が問題となる。 我々は、レーザースキャンシステムを用いたパノラマ断層撮影法により、断層写真特有のボケ像の無い視覚的に見易いパノラマ画像を再合成することができた。また、パワースペクトルのモデル的数式化により、高い精度で骨梁パターンを定量評価できた。さらに、レザースキャンシステムの口内撮影法への応用も試み、レーザースキャンシステムを利用した口内撮影法とパノラマ撮影法により、顎骨の骨変化を総合画像診断学的にとらえ、骨疾患の実態を解明して行くつもりである。
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