研究概要 |
ヒガンバナ科植物の新塩基性成分の単離と構造決定とこれら塩基性成分の化学変換およびその変換物質の類似体の合成を行った。また各種塩基性物質の抗ウイルス作用などの検討を行い、次のような結果を得た。 1.表記植物スノーフレークLeucojum asetivum L,インドハマユウCrinum latifoliumL.およびヒメノカリスロッタータHymenocallis rotataより数種の概知塩基とともに、それぞれ新塩基3R-hydroxybutyryl基を有するleucotamineその0-methyl体および3-0-acetylungiminorine,isoquinoline誘導体latifine,およびdemethyl-maritidineと(-)-N-demethyllyccaramineを単離した。これら新塩基の構造を各種スペクトルおよび化学変換により決定した。 2.ヒガンバナ科アルカロイドlycoramineの酸化により2種類のカルボン酸,A酸とB酸を得た。これら酸の構造は、スペクトルデータ、別途合成および化学変換などにより決定された。アルカロイドgalanthamineの変換物質apogala-nthamineの類似体の合成を光化学反応により行った。零価ニッケルを用いる反応によりlatifine類似体4-phenyl-tetrahydro-4-isoquinolinolの新合成法も見い出した。 3.ヒガンバナアルカロイド(前駆体norbelladine【C_(15)】【H_(17)】【NO_3】より生合成された化合物)について単純ヘルペスウイルス/Vero細胞系で抗ウイルス活性を検索し次の結果を得た。(1)7種類の系のうちlycorine系,tazettine系およびlycore-nine系の化合物のいくつかに活性を見い出した。(2)化学療法係数0.2以下の化合物は、hexahydroindol部分構造を有し、そのindol環の5,6位か3,6位に酸素官能基をもつなどの共通性が見い出された。(3)これら塩基物質の抗ウイルス活性は、細胞外ウイルスの直接不活化でなく、増殖抑制的作用に基くと判断出来た。(4)その作用機序の1つとして、ウイルスDNAポリメラーゼ活性の阻害が示唆された。
|