研究概要 |
我々が発見し展開してきたアニリド及びエナミドの光閉環反応の反応中間体はいずれも共通の構造式(A)で表わされ、イミニウム部分とエノレート部分という2つの官能基を持つ。本研究ではこれら2つの官能基への面選択的反応を起させることにより以下のようなキノリン,イソキノリン,及びインドールアルカロイドの不斉合成を行うことができた。 1.アニリド類の不斉光閉環反応によるキノロン類の不斉合成 アニリンと不飽和酸クロリドより容易に得られる安定なアニリドを【C_2】対称軸を持つジアシル酒石酸存在下、光照射することによりキノロン類の簡単な不斉合成法を確立した。 2.エナミド類の不斉光閉環反応によるイソキノリン及びインドールアルカロイドの不斉合成研究 1-メチルイソキノリン及びハルマランより得られるエナミドを【NaBH_4】等の還元剤存在下光照射することによりイソキノリン及びインドールアルカロイドの骨格化合物が高収率で得られることを見い出した。又その結果に基づいて、【LiAlH_4】を様々のキラルなアミノアルコール等で不斉修飾した還元剤存在下光照射してイソキノリンアルカロイドの不斉合成を行った。以上の様に反応条件が緩和で操作も簡便な複素環化合物の新しい不斉合成反応を開発することが出来た。
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