研究概要 |
1)FT-IR光音響顕微装置の製作 ステップアンドインテグレート法の行なえる干渉光学系を試作した。ミラー移動にはパルスステージを、ミラー位置検出には常法通り白色光とヘリウム・ネオンレーザーを用いた。データ処理にはマイクロコンピューター(A/D変換器登載)を用いたFFT等を行なった。集光光学系には、放物面鏡,楕丹面鏡各一枚を用い、光源像の1/4の集光(【〜!〜】1.5mmφ)を得、それ以上はアパチャーの設定で分解能を上げた。後半から市販機(日本分光製)も使用し比較した。 2)光散乱性試料等の非破壊分析法の検討 光散乱性試料として、生薬,胆石,毛髪,錠剤等各種生体試料を測定した。苦味健胃薬である黄柏樹皮には、セルロースと主成分ベルベリンのスペクトルが見られ、胆石そのもの(0.5mmφ域)では、コレステロールのスペクトルとほゞ同じであり、毛髪(0.5mmφ域)も他法と一致し、試料そのまま入れれば測定できる本法の特異性が確信できた。深さ方向解析も試みたが、ヘルムホルツ共鳴等により、強度のミラー速度(σ断続周波数)依存性に系統性がなかった。この知見はユタ大学での研究協力でも生かされ報文となった。 3)顕微下成分分析の為の基礎検討 強度に問題があったので、強度の安定なヘリウム-ネオンレーザーを用い顕微下定量分析の為の基礎検討を行うことにした。色素分布をモデルにし、色素の微小域での定量性を調べた所、40μm域で十分定量可能な事が分った。この手法を生体組織内の成分定量に応用する事に成功した。 4)付帯的に発展した新研究(X線吸収光音響効果の発見) 本研究で開発した高感度光音響セルをX線用に改良し、文部省高エネ研シンクロトロン放射光を用いて、X線吸収光音響効果を発見、検出に初めて成功した。上記の成果を報文等で発表した。
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