研究概要 |
前年度に引き続き、ラット臓器におけるコリンキナーゼ(CK)分子夛様性の免疫化学的解析を行なう一方、新たに初代培養肝細胞系における四塩化炭素(C【Cl_4】)によるCK誘導の実験を試行した。 (1)CK分子夛様性の免疫学的解析:既に我々はラット臓器において、CKは1種のみではなく、数種の分子型で存在すること、ラット腎より精製・単一化したCK分子種に対するウサギポリクローナル抗体が、いずれの分子型とも免疫交叉性を示すこと、を明らかにして来た。これらの事実をもとに本研究では、ラット臓器に存在するCK分子種の免疫学的な解析(Wesfern-Blott法および免疫沈降法)を行ない、以下の新知見を得た。ラット腎には既に精製・単一化された42KDa-CKの他に52KDaおよび35KDaの2種のCKが存在し、主要な分子種は52KDaおよび42KDaの2つである。小腸においても同様3種のCK分子種の存在が認められたが主要な分子種は52KDaであった。他方、ラット肝および肺では、主要な分子種が52KDaである点では小腸の場合と同様であったが、42KDa,35KDaの2種については存在が認められず、それらに代って45KDa分子種の存在が明らかとなった。 (2)C【Cl_4】は初代培養肝細胞系において、in vivoと同様、細胞内トリグリセリドの蓄積をもたらすが、この場合C【Cl_4】の代謝活性化に必要なチトクロームP-450量の維持が必要不可欠であった。しかしながら、ホスファチジルコリン合成速度およびCK誘導については細胞内P-450量の如何に抱わらず、in vivoで認められる様な著明な変化は現在までの段階では認められていない。現在CK誘導の再現できる様な培養系の確立に全力をあげて検討を加えている。
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