研究概要 |
家兎血小板チロシン残基リン酸化酵素によって特異的にリン酸化される血小板48K蛋白の機能的役割を検索する目的で作成したホルボールエステル(PMA)刺激後の48K蛋白の単クローン抗体4種類については。全てIgM抗体であったことは、すでに報告した。 "40K"機能蛋白として現在盛んに研究されているものには、【IV】型コラーゲンの受容体蛋白"コリガン",フォスフォリパーゼ【A_2】の阻害蛋白としての"リポコルチン"あるいはグアニンヌクレオチド結合蛋白のαサブユニットなどが挙げられる。これらの蛋白質はいずれも細胞膜関連蛋白質であることが考えられる。。48K蛋白は、細胞質内に局在すると考えている蛋白であるが、血小板が刺激に反応し凝集や放出反応などを伴った機能的形態変化をする際に外膜に移行、出現して機能する可能性も考えられる。そこで先ず、得られた4種の単クローン抗体の血小板凝集反応に及ぼす作用について、コラーゲン,PMA,あるいはトロンビンで刺激して検討した。4種のIgM抗体はいずれも【IV】型コラーゲン凝集を100%抑制した。その内のJ抗体はPMA刺激の初期段階に認められる約1分のlag timeを約4分に遅延させ、凝集を100%抑制した。またJ抗体は、【IV】型コラーゲン及びPMA刺激による放出反応をも100%阻害した。以上の結果は得られた単クローン抗体の内特にJが【IV】型コラーゲン及びPMA刺激に早期に反応する血小板蛋白を認識して阻害効果を現わしていることを示唆しており、凝集及び放出反応に共通的に関与する蛋白質の存在が示唆されたと考える。以上から【IV】型コラーゲンのアフィニティクロマトグラムによる血小板受容体の解析とIgM抗体のアフィニティクロマトグラムにより得られる血小板蛋白の解析を比較することによって、共通的に関与する蛋白質及び機構の検索を前述した方法を用いて現在検討している最中である。
|