研究概要 |
刺激によりリン酸化の著るしい亢進を認める血小板の48K蛋白は, 数種の亜種蛋白より構成されているので, 各種刺激後の48K亜種蛋白群の変動について検討した. その結果トロンビン(T)では48K-1〜7の7種, PMAは1, 3, 5, 6, 7の5種, 4型コラーゲン(Coll)では3, 5, 7の3種の亜種48Kリン酸化蛋白を検出した. 先ずcoll刺激後の48K亜種蛋白質のアルカリ安定性を検討したところ, 48K-3, 5, 7はいずれもアルカリ安定性を示さなかったので, チロシン残基リン酸化の可能性は否定された. またPMA刺激により早期に活性化される48K-1, 3, 5, 6, 7の5種の亜種蛋白の内48K-3がPMA刺激の早期からアルカリ安定性を示し, これがPMAによって早期に活性化されるTPKの標的蛋白であると思われた. Laptima系は, フォスフォリパーゼA_2の活性化を抑制すると考えられる, リポコルチンのリン酸化を否定している. 作成した48K蛋白単クローン抗体は, 4型collによる血小板類集を完全に抑制したが, その認識する血小板蛋白は, 免疫ブロッティング法で検討した結果, 48K亜種蛋白群と共にアクチンであると判明した. これによって刺激に応答し, リン酸化の亢進する48K蛋白は, アクチン関連蛋白である可能性が示唆され, 今岡等のP47K蛋白の実験結果と矛盾しない. この様に作成した48K蛋白単クローン抗体の認識血小板48K蛋白亜種を特定することが出来たばかりでなく, これらの単クローンがPMA凝集により惹起される48K蛋白の特定亜種のリン酸化の一部を阻害し, またトリフルオペラジン阻害実験により残存することから, 各48K亜種蛋白のリン酸化の凝集反応との相関が推定された. 48K-3, 5はチロシン残基に対応して早期の刺激伝達に関与し, 1, 2, 4, 6, 7は, これに続くセリン・スレオニン残基リン酸化で, PMA刺激では無くトロンビン凝集の惹起に関連するものではないかと考えている.
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