研究概要 |
経絡・経穴の本態は明らかではない。そこで経絡・経穴系を機能的構造として捉え、体壁上に現われる諸反応を分析、処理することによって、その実在性を実証することができるものと考える。これまで経穴現象として体壁上に現われる反応として重視されているものに皮膚温変化,皮膚の電気的特性(インピーダンス,通電抵抗),硬結(ニリ),圧痛などがあるが、われわれはこれらの中で皮膚温,皮膚電気特性および硬結に注目し、前2者の分布からみた経絡・経穴系のイメージ化と硬結のイメージ化を試みた。特に皮膚温分布,皮膚インピーダンス分布および皮膚通電抵抗分布については各個体間のデータを加算処理したり、皮膚温と皮膚電気特性の異なる指標を重ね合せた処理を行ない、経穴の多重構造からみたイメージ化を試みた。 実験方法として皮膚温分布はサーモグラフィー装置で、皮膚インピーダンスおよび通電抵抗はデルモメータとノイロメータで測定し、いずれもコンピュータにデータを入力した。画像処理方法として画像の加算,減算,重ね合せを行ない、画像表示としてカラーイメージ、鳥瞰図イメージを行なった。 以上の方法により古典の経路・経穴図とまったく一致したイメージを抽出することはできなかったが、それに類似したイメージを再構することができた(特に背腰部では経絡様のイメージを、胸腹部では経穴様のイメージを)。 なお、硬結のイメージ化は超音波診断装置を利用して硬結部の超音波像と採集し、これを画像処理した。その結果、硬結部と非硬結部ではイメージの上で濃度の違いが明からとなり、これまで主観的に指頭感覚で捉えていた硬結を客観的な超音波イメージとして再構成が可能となった。
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