研究課題/領域番号 |
60571095
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
岡部 栄一郎 神奈川歯大, 歯学部, 助教授 (50097276)
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研究分担者 |
原 章 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手
徳富 亘 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (30147996)
塗々木 和男 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (90139577)
TOKUTOMI Wataru Kanagawa Dental College
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 心筋虚血 / フリーラジカル / 心筋小胞体 / カルシウム / カルモジュリン |
研究概要 |
虚血心筋で細胞内pHの低下が生ずることはすでによく知られている。我々は、本研究で、このpH低下にともなう興奮-収縮連関の破壊が、急性虚血過程での心筋機能異常に中心的役割を演じていることを明確にした。そして、このメカニズムに、心筋アチドーシスによるprostaglandin生合成促進の結果発生する活性酸素が積極的に参加していることを昭和60年度に証明し得た。 さらに、これらの結果を基礎にして、不可逆的細胞障害へ導く虚血過程での一連の現象に、活性酸素がどのように関連しているか追究するとともに、興奮-収縮連関における共役カルシウムの供給源であり、また、このカルシウムを取り込む筋小胞体(SR)の機能に対する活性酸素の作用様式を解明することを試みた。 その結果、虚血心筋細胞内pH(pH6.4)では、 OHがSR膜カルシウム輪送系のカルモジュリン依存性の反応段階を抑制することにより、SRからのカルシウム受動拡散(passive calcium permeability)を促進し、したがって、筋形質内free【Ca^(2+)】を増加させると判断することができた。また、筋原線維収縮蛋白の【Ca^(2+)】感受性は、活性酸素によって変化しないため、筋形質内free【Ca^(2+)】の量に応じてカルシウム-トロポニンを形成することになる。そして、これが、虚血性心収縮へ導くと結論される。 ここに、心筋虚血による組織アチドーシスが、活性酸素発生を介して、興奮-収縮連関に障害を与えるメカニズムについて推察することができた。今後は、活性酸素のSRカルシウム動態に与える影響を解析することにより、さらに直接的に、かつ詳細に我々の仮説を証明することが必要である。
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