心臓超音波検査法の発展は、心臓の収縮機能の局所的動態把握を容易におこなえるようにし、その非侵襲性から広く臨床面での応用がなされている。一方、最近発生頻度の上昇している心筋梗塞等のいわゆる虚血性心疾患の病態生理の把握には、その局所心筋収縮動態の解析が不可欠である。そこで、本研究では、画像処理装置を購入し、予備的基礎データーをもとにソフトウエアを開発し、引続いて臨床例への応用を試みた。 1.初年度には、予備的基礎実験により、急性心筋梗塞前質の超音波心臓断層図を記録した。 2.画像データー処理装置を購入し、超音波画像処理用のソフトウエアを開発した。 3.上記データーをもとに虚血心の病態生理を把握するための各種のパラメーターについて検討を加えた。 4.第2年度には、初年度の成果をもとに、血栓溶解療法等の臨床例を中心に、虚血心の局所心筋動態の病態生理について解析を行って、本システムの臨床的有用性について検討した。 その結果、左室超音波断層図のコンピューター解析では、左室の内腔をトレースして、左室の形態の変化を一心周期に渡って追跡することにより、その局所の収縮状態を把握することが出来、虚血心の臨床例での、病態生理学的解析が可能であった。
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