本年度行った主な研究は以下の通りである。1.トーラス形プラズマの抵抗不安定性の理論はGlasserらにより展開されている。その結果の一つとしてResistive interchange modeが安定であるための条件が導かれている。この条件が満たされるためにはMercier条件が満足されていることが必要である。Mercier条件が満足されないときには、Ideal interchange modeに対して不安定である。ドラム形フラックス・コンサーバー(FC)内プラズマにこの条件を適用して、Resistive interchange modeに対する安定性を調べている。今までのところ、全ての磁気面でこの条件を満たす平衡配位は見つかっていない。一方、実験で観測されている不安定性を説明するためには、不安定モードの成長率の値を求めることが重要であるので、その準備をしている。2.実験で用いられるFCにはプラズマの導入口がある。導入口の影響を無くすためには、その近くに外部コイルを置き、プラズマ電流と逆向きの電流をそれに流せば良い。前年度は、中心導体を持つ扁平回転楕円体形FCの場合について、導入口の影響を調べその有効性を示した。一方、外部コイルを持つFCの実験が大阪大学の渡辺研究室で開始された。その結果、外部コイルに電流を流す方法の有効性が実験的にも確認された。しかしながら、実験で用いられているFCの外部コイルの形や大きさなどは、上記計算で用いたものと少し異なる。更に、今までの実験では中心導体が挿入されていない。今年度は、実験で使われているFCに合わせて計算を行った。その結果、中心導体がないとプラズマを安定に閉じ込めることが出来る最大β値は下がるが、他の点は定性的には変わらないことが分かった。 プラズマ導入口の閉じ込めに対する影響と抵抗不安定性の研究の結果が得られるならば、プラズマの閉じ込めを改良する方法についての知識が得られるものと期待している。
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