研究概要 |
沖縄の食文化の特徴を明らかにするには、琉球王朝時代の食生活の史的考察が必要だと考え、史料ならびに古文書等の文献検索と分析を行なった。また古文書等の検証と古老からの聴取調査も行なった。その結果、次のような知見を得たので報告する。 1;沖縄の食文化を特色づけるものに古くから獣肉類を食べる習慣があるなかでも特に豚肉を主流とした料理が発達し庶民生活に定着しているがそれは何故か、史的考察を試み、肉食の変遷と背景について検討した。その結果を日本生活文化史学会で発表した。論文は同学会誌「生活文化史NO11」に掲載された。 2;八重山に保存されていた古文書の中から「石垣殿内膳符日記」「竹原家膳符日記」等の資料を得た。琉球王朝末期から明治時代にかけて40年間の記録があり、祭祀,法事,生年祝等の献立や料理,材料から当時の食生活研究には貴重な資料となる。そこで、これ等の古文書の読み下しと解説を行い活字化したいと準備中である。 3;八重山石垣市の法事について聴取調査と現地取材をし、供物,献立,料理を詳細に調査することができた。膳符日記との比較研究により、変遷と特徴を把握した。八重山の霊供盆は日本の精進料理との類似性がみられ仏教文化の影響が濃厚にあるように見受けられるが、三味物といった中国の習俗も受容れていた。その影響について検討中である。 4;久米村の習俗を通じて流入した中国文化の影響も多大であったと考え孔子廟祭祀,清明祭,焼香行事の供物,料理の調査を行なった。豚,鶏,魚,その他の供物,御三味は中国の習俗を受容したものでありそれが約3百年もの間連綿と継がれている。
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