研究概要 |
柔道は学校体育の中で格技として位置づけられ, 正課及び課外体育として実施されている. 本研究では柔道技能学習で重要となる技術練習の強度とその基盤となる体格・体力の永準について明らかにしようとした. 柔道における投げ技を学習するための基本練習である打ち込みの運動強度について, エネルギー的側面から実験し, 技能習熟度, 練習様式及び技別の相違について比較し, それらの特徴について明らかにした. また, 小学生から中高年者に至るまでの柔道修業者の体格・体力について測定し, 柔道練習による効果や発達的特徴について明らかにした. これらの成果は次のように要約される. 1.柔道における投げ技の基本練習である打ち込みのエネルギー代謝率(RMR)は, ほぼ13〜22の範囲にあった. 2.投げ打ち込みと最大打ち込みの運動強度は類似していたが, その場打ち込みに比べて有意に高かった. 3.打ち込みのリズムが速いほど生理的強度は高くなり, 熟練者は未熟練者ざりも全力を出しきる能力が優れていることが推察された. 4.休息を入れることにより%〓O2Maxは5.6%, HRは7.6拍ほど有意に低下した. 5.柔道技術別にみたRMRは10.7〜18.1の範囲にあり, 手技の背負投と肩車は腰技及び足技よりも有意に高い強度を示した. 6.柔道修業者の体格・体力は小学校中学年から身体の周育や筋力系が発達しはじめ, 中学校・高校期からその特徴が顕著になることが明らかとなった. 7.柔道修業者の体力的特徴は, 形態が大きく, 筋力及び瞬発力が優れているが, 呼吸・循環機能, 敏捷性及び柔軟性が比較的劣ることが明らかとなった. 8.柔道修業者の大力的特徴は, 柔道練習を継続している中高年齢者においてもその傾向を維持していることが推察された.
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