研究概要 |
土壌水-地下水系あるいは不飽和-飽和帯に界在する毛管水帯での水の動きと物質の挙動を室内実験および野外観測の両面より解明することを目的とした。すなわち、地下水位の上下変動とそれに伴なう毛管水帯の変動による土壌水と地下水の間の物質の移動様式とそこに動く要因を解明することを主な課題とした。 初年度は、室内における基礎的なコラム実験により、水分量と溶液濃度の勾配と水および物質移動の関係、あるいは地下水位の変動による毛管水帯中に注入したトレーサーの挙動を考察した。また、野外の観測地として茨城県の出島台地を選び、観測機器の設置,トレーサーの散布を行ない、一部の観測を開始した。 61年度は、出島台地での野外観測を集中的に行ない、地下水位,土壌水分量,水分ポテンシャル,地中水の水質を測定した。また、特別に試験地を設定し、人工的に揚水を行ない地下水位を変動させ、毛管水帯をはさんだ不飽和-飽和帯での水と溶存物質の挙動を観測した。以上の実験・観測により、以下の点が明らかとなった。地下水位の変動様式により、水分および物質の移動様式が異なり、物質の移動にもヒステリシス現象が存在することが、室内実験および野外観測から認められた。 地質の不連続(成層)、特に粘性土の存在が物質の挙動に大きく影響し、地下水位の位置とその変動幅に関連して、溶存物質の濃度プロファイルのピーク位置が決定されそうである。なお、今後2年間程度は野外観測を継続し、観測結果を蓄積し、当初予定していたシミュレーションを実施したいと考えている。
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