本研究は上記研究課題名のもとに、美術史学支援のためのデータベース構築に関わる諸条件の調査、目標とすべきシステム像の探究を通じて電算機を用いた日本東洋美術史における多角的情報処理システム作成に関する基礎的研究を行うことを目的とする。第1年次である昭和60年度の研究実績は以下の通りである。 (1)美術史学において想定しうるデータフィールドの検討 「作品」「写真資料」「史料」「文献」等いくつかのデータフィールドを想定できるが、美術史学支援データベースにおいてはこれらに有機的つながりを持たせることが望ましいが本年度はこれらのうち「文献」データを重点課題としてとりあげた。 (2)既存データベースの稼働状況調査 人文科学系のデータベースシステムを中心に調査を進め、本研究におけるシステムの基本的構想を検討する際の参考とした。 (3)ハードウェア構成 DEC社MicroVAX【II】にNEC・PC9801を接続し、PC9801上のプログラムにより前者の専用端末として使用できるように設定した。 (4)サンプルデータベース作成実験 文献データの特性を検討し、データ項目を決定、サンプルデータとして戦後刊行された美術全集所載の日本東洋美術史関係文献の収集・入力を行い、データ処理実験を行った(件数約1600件) (5)文献データベース構築の準備 上記サンプルデータベースの実験結果の検討に基づきデータ項目等の変更を行うと共に、文献データベース構築にむけて国会図書館等において文献データの収集を行い、データシートへの記入を終了した(内容:昭和41〜55年定期刊行物所載日本東洋美術史関係文献約3万件)
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