研究課題
試験研究
本研究は美術史における学術的データベースの構築に関わる諸条件の調査、目標とすべきシステム像の探究を通じて、電算機を用いた日本東洋美術史における多角的情報処理システム作成のための基礎的研究を行うことを目的とする。美術史学支援データベースの内容としては、第一次資料である「作品」を中心として、「写真資料」「史料」「文献」等のデータフィールドを想定することができるが、これらを有機的な構造をもつデータベースとして構築するためには、各々のデータフィールドの特性を把握する事が重要であると同時に、それらの間の有機的な関係に対する認識が不可欠である。研究の目的を具体化するにあたって上記データフィールドの中から、「文献」データベースの構築を課題として設定し、各データフィールドへの多様なアプローチを可能にする検索手段としての索引語の作成をも課題として設定した。本研究は上記の目的と設定された課題の下に、既存のデータベースの稼動状況調査、ハードウェアの選定等を経て、1)システム設計 2)データ収集3)サンプルデータベース作成 4)キーワード辞書の作成を行ったが、初年度はサンプルデータとして戦後刊行された主要な美術全集所載文献を選び、データの収集、データの入力を行い、データ処理実験を行ったが、最終年度はこの実験に基づいて学術雑誌に掲載される美術史「文献」のデータベース作成にあたった。これにより六千件の文献書誌データと文献内容に即したキーワードの入力を終えた。ここで収集されたキーワード群は、美術史学における各データフィールドへの入口を形成する「索引語」の基礎となるべきものである。