文学研究のために望まれるシステムについて、今年度は、研究の具体的計画の索定と、問題点の整理を行った。このために全体会議を3回開催し、また分科会を組織した。研究の進め方として、2つの方向を考慮した。 1.特定の問題に目標を絞って完全なシステムを作成する。 2.全部の問題について共通の基盤技術を抽出して、その実現をはかる。 研究対象として扱うべきものとして、論文資料、古典テキスト本文、研究者カード、調査カード、マイクロ資料、芝居番付、挿絵、連歌等をとりあえず光ディスクに蓄積し、出力するシステムを作成する。 また、論文検索や古典テキスト本文の分析を行う支援システムを開発する。具体的には、本年度は主として、 1.マイクロフィルム資料を光ディスクへ蓄積、検索、伝送するための技術について調査研究し、当館蔵コンピュータと光ディスクにテストデータを蓄積し、ハード、ソフト及び手法の問題を分析した。 2.研究者の用いる用語からデータベース中の実体へのマッピングを取る手法について、とくに論文データを基とした距離空間に分布するキーワードをユーザモデル学習方式により同定する手法について成果を得た。 3.古典作品本文を分析するために、とくにその入力システムについて知識工学手法による要件を整理し、一部自然文からキーワードの抽出を行った。 通信機能をもつ高機能端末を購入し、利用の容易なユーザインタフェースをとくに日本語処理の中でも外字が多い分野である国文学における対応を実験した。
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