社会科学分野の文献は、自然科学分野の文献と異り、その発表形式の標準化の度合が低い。従って、それ等の文献の検索用のデータベースの編成に当っては、(1)散在している文献の広範囲な蒐集と(2)蒐集文献の書誌記述の標準化が必要である。(1)の問題の解決のためには、文献の蒐集とデータベースへの採録についての分散型編集システムを開発するのが、その一つの方式である。(2)の問題の解決のためには、データの入力時にその書誌記述の管理を行うこと、データファイル完成時にその入力データの編集センターで集中的点検が必要である。前者のためには、効率的な校正システムの開発、後者のためには、各種典拠ファイルの整備とシソーラスの開発が必要である。 今年度は、分散型協同採録システムをとっている「経済学文献季報」の編集採録システムの検討とその改善方式の開発を行った。研究作業は、(1)「季報」の編集システムの工程分析と機械化の可能性の検討、(2)校正システムの開発とその機械化システムの開発、(3)著者名・誌名典拠ファイル作成のための既存の典拠ファイルの蒐集検討、(4)シソーラス編成のための実験用データファイルの作成、(5)歴史分野の詳細シソーラス編成のための累積版作成のための既存資料の蒐集検討である。
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