研究概要 |
1 界面膜内反応追跡装置の試作 界面膜内で起こる反応をin situで追跡するために全内部反射型光音響信号測定装置を設計し製作した. この装置は, 光源, 試料セル部, 信号測定部から成る. 光源には15mWAr^+レーザあるいは10mWHe-Neレーザを用いこれを光学断続器により断続光とした. 試料セルは試料溶液をはさんで高屈折率ガラスの半円筒形全内部反射プリズムと圧電素子が直接試料溶液と接する構造をもち, セルをステッピングモーターにより駆動される回転テーブル上に設置して励起光の入射角を変化できるようにした. 光音響信号測定は通常法に従いロックイン増巾器で行なった. 2 光音響信号の評価 完成した装置によって得られる信号の諸条件に対する依存性を検討し実験と理論との一致を確かめた. 3 深さ方向分析への応用 全内部反射法において入射角を変化させることにより光の侵入の深さを変化させることができる. これを利用してガラスー試料溶液界面での溶液側への深さ方向の測定領域を励起光波長の数分の1から数倍に渡って変化させ同時に信号強度を測定することにより界面近傍での吸光種の濃度分布を測定した. 2, 3の色素について界面から溶液までの均一濃度分布を確かめるとともにメチレンブルーの水-メタノール溶液系でメタノール50V%以下でガラスと溶液の間に光学的性質が相当異なる中間〓が存在することを見いだした. この〓の正確な光学定数を検討中である. 4 界面膜内反応追跡への応用 全内部反射プリズムを透明電極としてFe(II)(phen)_3/Fe(III)(phen)_3系の光音響信号強度-電位曲線を得, この曲線がポーラログラフィーのlog解析と同様の方法で解析可能なことを確かめた. 一方透明電極にナフィオン膜を製膜しこの膜内へのカチオン性色素の解散を追跡し, 定性的ではあるが今まで観測が困難であった挙動に関する知見を得ている.
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