研究分担者 |
木村 正人 北海道大学, 理学部, 助手 (30091440)
高木 信夫 北海道大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (20001852)
岩渕 雅樹 北海道大学, 理学部, 助教授 (30000839)
三浦 一伸 北海道大学, 薬学部, 助手 (70001980)
大塚 栄子 北海道大学, 薬学部, 教授 (80028836)
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研究概要 |
アイソトープを用いないで核酸の検出が行えれば有害汚染物質処理, 研究者の健康管理などの面倒な問題が解決されるばかりでなく, そのために必要な莫大な経費の節減, 研究者の底辺拡大にも大いに役立つことは疑いない. 従ってこの方面の研究は全世界において目下活発に行われている. 本研究においては, まず現在までに報告されている方法の吟味を行った. その結果, ストレプトアビジン・ビオチンの強固な二次統合を利用したAB法がもっとも簡便で信頼性のあるものであることが分った. そこでこの方法の検出感度を上げるためにアビジン・アルカリフォスファターゼ複合体の検出をフォスファターゼの蛍光基質を用いることによって行うこととし, 蛍光基質の合成に主力を注いだ. 結局20種のクマリン誘導体および1種のジベンゾフラン誘導体を合成, その各々についてラムダファージDNAにビオチンを付加したものを基準としてその検出感度の検定を行った. その結果, ナイロン膜上に固定したDNAの場合, 0.2pgまでは検出可能なクマリン誘導体の合成に成功した. 今後蛍光の電気的検出法を確立すればこの検出限界は更に2ケタは低下させることが出来るものと期待している. このような物質の合成にあたってもっとも苦労したことは, 反応産物を水に不溶性のものとすることの他, DNAを固定した膜に付着する性質を付与することで, この点では今回開発したクマリン誘導体も未だ満足すべきものとはいえない. なぜならニトロセルロース膜に固定したDNAの検出には適していないからである. 今後の研究課題としてはより不溶性であり, より蛍光が強く, しかもニトロセルロース膜にも付着する蛍光基質を開発することがあげられる. そのような物質が出来れば, 細胞中に微量に存在する核酸の検出もまた可能となる. なお, アイソトープを用いない核酸検出法の講習会を1987年12月に遺伝子実験施設において開催した.
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