研究概要 |
一本の円筒型耐圧容器にカメラとストロボを組み込む海底写真撮影装置の試作研究は, 最終年度に簡易型海底写真撮影装置として一応の成果を収め, 静岡県三保半島沖海底地質調査に応用され, 新しい知見が得られた. 耐圧容器はアルミ合金(2021)を用い, コーティングなどは行わない. 電触が起こるのは, 耐圧容器本体とふたの合わせ部分であるから, コーティングは行うことが出来ない. 円筒の横に窓を溶接する方法は, 技術程度が高い工場が必要であり強度にもムラが生じ易いので, 実用機としては円筒の頂部にガラス部を設けることにした. 撮影は着低スイッチによりシャッターが切られカメラ内蔵のストロボ光が海底面で反射し, ストロボを発光させるというサイクルで行われる. 着低スイッチは磁石の移動によって耐圧容器内のリードスイッチが断続するもので, カメラのシャッター部に接続する. カメラは小型ストロボを内蔵したものでカメラの, シャッターが切れると発光する. 海底で反射する小型ストロボ光をスレーブで受光し, 大型ストロボが発光する. スメラと海底の距離は1m程度なので, このシステムは充分機能を発揮した. このように本試作研究で製作した海底写真撮影装置は, 既製の量産品を使用することで製作価格の低減と安定性能を引き出すことが出来た. カメラ収納耐圧容器とストロボ収納耐圧容器は光信号で結ばれた為, 耐圧容器はそれぞれケーブルで結ばれることなく独立し, トラブルが格段に少なくなった. 三保半島沖大陸棚の研究は, 市販の海底写真撮影装置やVTRカメラと併用して行われた. 駿河湾西岸を移動する礫に代表される粗粒堆積物の運搬堆積の仕組みと分布を明らかにすることができた. 大陸棚には時代の異なる礫が残存し, それぞれ海水準を反映するものと考えられる. 本研究の成果をふまえ, 自己浮上式海底写真撮影装置とグラビティーコアラーを組み合わせた装置を開発する予定.
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