研究概要 |
本研究の光増幅機能素子は、光増幅、光双安定、光一方向性を備えたデバイスにて、光エレクトロニクスにおける能動素子として必要なほとんどの機能を単一のデバイスで実現できるものである。しかし、特性面においては、応答速度の改善、光帰還の制御、動作入力光の低電力化などが、課題として残されている。このため、新しい成長方法によるデバイス構造の微細化を計るため、有機金属エピタキシアル成長装置の組立てと、液相エピタキシアル法による新デバイス構造の作製と光帰還制御に関する実験と解析を行なった。 1.有機金属気相エピタキシアル成長装置反応系を、特に高真空性による成長層の高純度化の観点から、設計・組立てを行なった。 2.光増幅機能素子の入力部である異種接合光トランジスタのコレクタ層にInPを採用し、素子耐圧の改良を行なった。 3.異種接合光トランジスタのベース層の混晶組成を、二結晶法X線回折により精密に測定し、制御することにより、漏れ電流の改善されたデバイスを再現性よく得た。 4.光増幅機能素子の出力部であるストライプ型発光ダイオードの最適設計により、0.5%を越える発光効率を得た。 5.入出力部の空間的分離集積構造により、1.9の光増幅率、光双安定、光スイッチ特性を得た。 6.光増幅機能素子に測定端子を設けることにより,入出力部の特性を分離して行ない、光帰還の定量的解析と帰還機構の解明を行なった。 7.これに基づき、光吸収層の一層挿入により、10を越える光増幅と光双安定、光スイッチ動作を実現した。 8.入力光部異種接合光トランジスタの小形化により100nsの応答速度を得た。ディジタルボックスカーインテグレータによる測定系の整備により高速応答特性の測定を可能にした。
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