本研究は結合プラズマの高周波パルス変調励起と、それによって生じたプラズマの時間変化を積極的に利用検出するためのダイナミック測光を併用した感度の高い発光・けい光多モード、多機能型多元素同時分析装置の試作に関するものである。本年度は当研究の初年度にあたり、主として時間分解測光装置の試作とICP変調回路の試作を行ない基本動作の確認を行なった。 (1)イメージディセクタを用いた時間分解位置分解測光装置の試作 パーソナルコンピュータで制御された撮像システムの試作を行なった。X、Yの分解は1024点、通常のラスター走査、ランダム走査、部分ラスター走査が可能である。さらにナノ秒オーダのサンプリング測光が行なえるようにブランキング電極を制御する方式を開発し2nsの分解時間を得た。これはイメージディセクタ本来の分解時間14nsよりはるかに小さい。 (2)多波長同時検出用SIT撮像システムのラグ特性の解析 SIT撮像管は多波長同時検出器として優れた性能を持っているにもかかわらず、極めて大きな残像特性(ラグ)を持っているため定量分析への応用には困難を伴なう。今回理論的解析を行ない補正法を考案した。 (3)ICP変調回路の試作 本年の設備費で購入したICAP-50R光源の変調回路を試作し数百WのバイアスRF電力に最大2KWのRFパルス変調を重畳させることが可能となった。これは装置をマニュアルモードに設定し、ビーム電力管7F73Rの第二グリッド電圧の変調および中間電力増幅段の同時変調によって可能となった。
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