研究概要 |
臨界プラズマのイオン温度を協同トムソン散乱法により測定するには、散乱用光源となる高出力・狭帯域サブミリレーザの開発が不可欠である。本研究では、実験室プラズマでの散乱計測が可能となる出力100mJ,パルス幅200〜300ns以上の狭帯域重水サブミリレーザの試作を目的に研究を行った。前年度までに、出力30Jのシングルモード炭酸ガスレーザ励起重水サブミリレーザを試作し、当所の目標を上回る出力120mJ,パルス幅800ns,スペクトル幅100MHz以下の波長0.385mm重水レーザ光を得た。そこで本年度は、これらの結果をさらに発展させて、現在集中的に開発が行われている重水レーザ以外の高出力サブミリレーザ開発の可能性について、理論的,実験的に検討を加え、サブミリレーザの最適化を計ることを目的に研究を行った。 主要な結果を以下に述べる。(1)与えられた励起用炭酸ガスレーザ出力に対し、散乱受信パワーの評価を種々のサブミリレーザ媒質について行った。その際、サブミリレーザの発振特性は、本研究代表者等により既に開発されているシミュレーションコードを用いた。その結果、【NH_3】0.151mm,0.257mmの発振線が有望であることを見い出した。同発振線を用いれば、同一の受信パワーに対しレーザ系を半分程度の規模にコンパクト化できる。(2)【NH_3】0.257mmについて励起実験を行い、発振を確認した。今後、この波長域でサブミリ波検出器が開発されれば、重水レーザに比してコンパクトな散乱計測システムを構成できると思われる。 以上により、重水レーザについては、より大型化する際の設計手法が確立され、重水レーザに代る有望なサブミリレーザ媒質を指摘した。
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