1.シンクロトロン放射の強力なX線の偉力を十分に発揮させるために強い入射X線に対する数え落としがなく、感度の高いX線検出器を開発すべく次のことを行なった。 (1)医療用読み出し装置を用いてイメージングプレートのX線回折像を読み出し、2次元X線検出器としての基本的性能を定量的に測定した。その結果、測定可能域は5桁まで拡張できる可能性があること 検出効率は8〜15KeVのX線に対してほぼ100%の値をもつことがわかった。 また、感度の不均一性は1.6%以下、像の空間ゆがみは1%以下であった。 従来のX線フィルムや高感度のX線テレビにくらべて、検出効率、測定可能域などの点で飛躍的に優れた2次元検出器であることがわかった。 (2)この結果にもとずき、X線回折・散乱実験により適した読み出し装置を開発するため、回転ドラム式フィルムスキャナー、およびレーザービーム光学系の設計・試作を行なった。この装置を用いて、画素サイズが25×25μ【m^2】の読み出しを行なえることを確認した。医療用読み出し装置にくらべて空間分解能が4倍向上したことになる。さらに任意の大きさのイメージングプレートの読み出しが可能になった。 2これにより次の成果を得た。 (1)筋肉の収縮中の詳細なX線回折像をわずか10秒の露光時間で記録することができた。従来の方法では放射光を用いても10分以上の露光が必要で筋肉が疲労するため収縮中の筋肉の構造解析は不可能であった。 (2)蛋白質の構造解析に応用し、試料が放射線損傷を受ける前に一連の回折像を記録することができた。従来は試料を交換して記録する必要があった。 これにより、精度の高い構造解析が可能になった。
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