超音波溶接は、通常の電気抵抗溶接、溶融溶接等の溶接方法では接合困難な同種および異種の金属試料の接合が可能で、溶接部の特性が良好であり広く用いられているが、超音波点溶接は板厚が大になると接合が著しく困難になる。金属の溶接試料の端面同志を接合する突き合わせ超音波溶接は、板厚の大な溶接試料の接合に有効であり、振動周波数27kHzのボルト締めランジュバンPZT振動子6本を有する超音波振動源を持った突き合わせ超音波溶接装置を構成し、3.5kWの電力増幅器を用いて駆動することにより、今迄に板厚10mm幅14mmのアルミニウム板同志、板厚6mmのアルミニウム同志、アルミニウムおよび銅板の突き合わせ接合が実現されている。振動印加方向は溶接試料端面に平行である。溶接試料の接合面は帯鋸で切断したまま、およびフライスで平面仕上げを行い、クロロセンで洗浄したのみでそれ以上の仕上げは行っていない。溶接強度としてはアルミニウム同志、アルミニウムおよび銅板の接合の場合とも、ほぼアルミニウムの母材強度の95%以上の約90MPaが得られている。溶接条件としては溶接チップ部の振動振幅約15ミクロン、静圧力30MPa、溶接時間1-4秒で入力パワーは3.5kW/【cm^2】である。また溶接部の特性を走査形電子顕微鏡、X線マイクロアナライザーおよび微小硬さ計等を用いて調べた結果、金属組織の変化、相互拡散は認められず溶接部近傍で僅かな硬さの低下が認められるのみで良好な接合が実現できる事が明らかになった。また板厚6mmの耐食アルミニウム同志、耐食アルミニウムおよび銅板の接合を試みた結果、溶接条件、溶接チップ振動振幅15ミクロン、静圧力56MPa、溶接時間1秒で溶接強度約190MPaが得られ、必要入力パワーは 7kW/【cm^2】であり、耐食アルミニウム同志、耐食アルミニウムおよび銅板の突き合わせ接合が実現出来ることが明らかになった。
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