研究課題/領域番号 |
60850031
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機械要素
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梅野 正隆 阪大, 工学部, 教授 (50029071)
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研究分担者 |
田畑 則一 三菱電機KK, 応用機器研究所, 部長
越川 孝範 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (60098085)
大前 伸夫 大阪大学, 工学部, 助手 (60029345)
TABATA Norikazu Mitsubishi Electric Corporation, Product Development Laboratory
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 表面 / 界面 / 母材 / 原子構造 / 高電圧電界イオン顕微鏡 |
研究概要 |
電界イオン顕微鏡(FIM)ではその原理上、観察できる試料としては線引き加工を施した高融点金属の細線に限られていたが、広く機械材料の表面はもとより表面処理層との界面や母材の構造を解析するために本研究では高電圧付加型のFIM(HV-FIM)の試作を行った。FIMの分解能を確保するために結像ガスとしてはHeを用いたが、試料チップの曲率半径が大きくなった場合には、個々の原子上でHeを電界電離させるのに必要な電圧は当然のことながら高いものとなる。FIMの超高真空中にこのような高電圧を導入することは非常に困難な設計であったが、セラマシール社の高圧導入端子を採択してこの問題を解決することができた。完成したHV-FIMの性能は、最高到達真空度【10^(-7)】Pa,チップ試料温度77K,最大印加電圧60kVという世界的に例の無い能力を有し、また試料交換もエアーロックシステムの採用でHV-FIMの鏡筒を大気にリークする必要が無く、実験の能率も大幅にアップすることができた。このようにして試作したHV-FIMを用いて、現在までにFIM観察例のないボロン繊維(線径100μm)やタングステン細線上にスパッタ・コーティングを施した硬質ボロン薄膜、及び同チップ試料を加熱処理してタングステンボライドを生成させたもの等を観察し、ボロン繊維のコアに存在する【W_2】【B_5】や【WB_4】が約1200Kで生成することを明らかにした。また、電界蒸発によって表面から一原子層づつ取り除き、ボロン/タングステン界面のボライドは厚さ約10nmであることを示した。タングステンのロッドからチップを作製し、その原子配列を観察することに成功し、この時の分解能〜0.4nmを得ることができた。以上のように、試作したHV-FIMの表面分析器としての優秀な性能を認めるとともに、今後機械材料の表面損傷の基礎的研究や表面処理による損傷防止の分野への応用が可能である。
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