研究概要 |
本年度は、散乱光を検出する光学系の配置について数値計算による詳細な検討を行なった。まず、MIEの式より散乱角と散乱光強度の関係を求めた。この結果、レーザ入射方向をθ=0°,ψ=90°、流れ方向をθ=90°,ψ=0°とする極座標系において、θ=90°,ψ=45°,135°の2ヶ所で散乱光を検出すると、散乱光強度は気泡半径の約2.1乗に比例し、強度も十分強いことがわかった。その他の検出位置では強度が弱く、光学系配置も複雑になり実用的でないことがわかった。次に、前記の検出方向でレンズを配置し、気泡がレーザを横切る位置によって散乱光強度がどう変化するかを、光線追跡によって求めた。理想的には散乱光強度分布は1mm×1mmの測定視界内で均一になり、それ以外の場所で0になる。しかし、実際にはレンズの収差の影響で完全に均一にするのは不可能である。そこで、強度分布の不均一さの影響を調べるため、モンテカルロ法によるシミュレーションを行なった。初めに、気泡径と個数の数密度分布関数を仮定し、これに合わせて気泡を発生させ、先に求めた実際の不均一な視界と、均一な視界の双方で測定した場合、どの程度最初の分布を再現できるか計算した。この結果不均一な視界でも、校正実験を十分行ない、これにより求めた気泡径と強度の関係をもとに測定を行なえば、総数5000個程度の測定でもとの分布を再現できることがわかった。現在は、より均一な視界を得るために、レンズ形状、入射瞳、出射瞳の大きさ等をパラメータとし、レンズ系設計を行ない、かなり良好な視界を得られるに至っている。 較正実験は、レビテーションの手法を用いて水中の任意の位置に気泡を静止させ散乱光強度を測定するが、現在、150KHzの超音波振動子を用い気泡を静止させる予備実験を終えている。また、気泡、固体分離や、流速測定のための電子回路については、既に設計を終え、製作段階に入っている。
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