地下鉄列車は、トンネル内を100秒たらずの時間内に、発進・加速・減速・停止という運動を繰り返している。通常、この列車の速度は、15m/sec〜18m/sec程度であり、閉塞率が高い場合には10m/sec程度の列車風を引き起こす。 本研究においては、列車風の動的挙動の研究に於ける最も基本的な姿勢の第一として、60年度は実車と同様に模型列車を走行させて行なう模型実験を行い、次に続く実測データの収集及び検討(61年度計画)、更にこれらを結びつける理論の構築(62年度計画)を目的とした。60年度の主要な成果は以下のとおりである。 1.模型列車の走行方法については、従来のベアリングを用いた車輪走行よりテフロンブロックを用いたスライド走行のほうが摩擦抵抗を大幅に軽減できることが判明した。 2.模型列車の走行パターンについては、16ビットCPUを用いてプリントモータをデジタル制御し、模型列車を任意の走行曲線に従って走行させ、位置決め精度1mm以下にすることができた。 3.この模型実験装置を用いて、トンネル内の列車風を測定し、統計処理を行ったところ、地下鉄列車風の動的挙動には、極めて一般的ともいえる法則性があるということが判明した。 4.この模型実験装置を用いて、駅階段部の気流を測定し、統計処理を行ったところ、この気流がLinear Dimensionのシリーズを持つことが判明した。
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