ワイヤーをつけた小形ロケットを雷雲にむかって打上げ、この先端から雷雲へ雷放電を誘発するロケット誘雷実験を昭和52年から実施しているが、今年はこの放電を利用し、避雷針への雷撃実験を計画した。実験は、石川県河北郡の河北潟干拓地にて、11月〜12月の1ケ月間に、試験発射を含めて 回の小形ロケットを打上げて、 回の誘雷に成功した。今冬は12月上旬より例年になく降雪を伴う強い雷雲が続々と飛来し、誘雷成功率は記録的高さであった。このうち、正極性誘雷は 回、負極性誘雷は 回で、正負両極性が1回あった。正極性のうち1回は、ワイヤーにそわない異常誘雷となったが、この放電は、誘雷地点に立てた高さ10mの避雷針へ雷撃せずに大地へ放電した。誘雷高度は最低が mという記録的低さで、このとき地上電界は1m当り kVに達していた。雷放電流は、誘雷点のシヤント抵抗による光・電変換光ケーブルシステムおよび誘雷点から1km地点のループコイルによる磁界測定システムで測定され、 〜 kAの波高値を得た。放電路の写真撮影は、遠隔操作を含めて静止カメラと流しカメラおよびビデオカメラにより多くの記録が得られたが、超高速撮影のための電子式イメージコンバータカメラにより、自然雷を含めて3回の記録が得られた。雷鳴による雷放電路の再現は、マイクロホンの設置状況の改善とコンピュータ解析の改良により精度の高い再現像を得た。雷雲下の地上電界の測定と共に、バルーンによる空間電界の測定を行い、雷雲下の空間に存在する電荷の分布状況を明らかにした。また、この空間電荷の発生原因となる地上の草の先からのコロナ放電の発生状況を確認した。来年度の計画である山頂の送電線へのロケットによる誘雷実験のための新形ロケットの開発を行い、2回の試射を実施すると共に、12月に、実験予定地である鶴来町の奥獅子吼高原の試験送電線の視察を行った。
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