研究課題/領域番号 |
60850052
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀井 憲爾 名大, 工学部, 教授 (70023223)
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研究分担者 |
池田 義一 中部大学, 工学部, 教授 (60065266)
鬼頭 幸生 名古屋大学, 工学部, 教授 (00023044)
桜野 仁志 石川工業高等専門学校, 助教授 (50042932)
中村 光一 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (10024283)
饗庭 貢 金沢工業大学, 工学部, 教授 (50104766)
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キーワード | ロケット誘雷 / 送電線 / 送電線鉄塔 / 雷撃電流 / 架空地線 / 放雷径路 / 耐雷設計 / 雷害防止 |
研究概要 |
今年度は、世界ではじめての試みである実際の送電線へのロケットによる誘雷実験を目的として、石川県奥獅子吼高原の標高約千メートルの山中にて275KV送電線の一部付換え後の試験送電線に対し、11月15日から約1ケ月間の実験を行い、12月4日の予定通りの誘雷に成功した。今年度は、咋年迄と異なり、ナイロン系の先にスチールワイヤーをロケットで引上げて、スチールワイヤーの下端から送電線へ雷撃させる新しい方式を開発した。このため、ワイヤーとナイロン糸を巻上げたボビンをロケットで打上げる新しい方式の試作とし試射を夏期に実施し、冬期実験に備えた。ロケット発射台は4基を送電線鉄塔の横に設置し、数回の試射の後6回の打上げに対し2回の誘雷に成功した。このうち、12月4日、11時32分、正極性雷雲に対するロケット発射では、高度69メートルのワイヤーの下端から23メートル離れた鉄塔の山側上相アーム先端に雷撃が誘発されたのが、写真およびビデオフイルムにより確認された。このときの雷撃電流は、磁鋼片及びロゴスキーコイル記録計により、鉄塔4脚合せて20KA、架空地絡3本合せて30KAの合計50KAと推定され、電流継続時間は1.6ミリ秒に達する典型的な正極性放電であった。更に、12月7日、18時57分の2回目の誘雷は、送電線から離れた大地への放電となった。なお、雷撃時の地上電界変化、雷鳴記録、ループアンテナによる電流記録、高速度流し写真などの観測測定は、低温・降雪の悪条件下、誘導ショック、感度不足などの不測事態に対する対策の改良の必要が認められた。来年度は、これらの点を改良し、ロケット・ワイヤーも改善を加えて、誘雷成功率を高め、鉄塔・送電線への雷撃時の放電電流、鉄塔の電位上昇、放電径路などの観測を充実させ、送電線の耐雷設計、雷害防止のための基礎的知見を深める予定である。
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