データベースシステムの中で関係モデルに基づくものは、自由度が高く使い易いために、プログラムの生産性や保守性が他のモデルよりも優れており、データベースの設計等多方面に応用するのに非常に適合している。しかし、この関係モデルの問題点は効率の低いことで、この問題を解決すれば関係データベースシステムは、さらに広く使われるようになると考えられている。従来関係データベースの質問処理の効率化や並行処理制御等は独立に論じられてきたが、本研究で開発中のテストベッドシステムは、これらのほかシステム環境等の種々の要素を総合的に考えた効率の良いシステムを開発・評価するためのものである。本年度は次のような点で成果を得ている。 1.効率の良い質問処理方式の開発:特に処理の困難な不等号質問処理の効率化について考察した。 2.種々の状況のもとでの並行処理方式の研究:主記憶容量が大きな場合や長時間処理の存在する場合は従来の方式が適合していないことを示し、これらの場合に適合した新しい方式を開発した。 3.テストベッド全体の設計:質問処理入力部、データ入力部、質問入力部、並行処理入力部、システム環境入力部、データ定義部、スケジュール部、前処理部、方式検査部、シミュレータ部、結果出力部等の設計を行い、相互のインターフェースを決定した。 4.基本的な部分の実現:記憶階層を考慮した並行処理方式として新しい方式を開発したので、この評価および上記テストベッドの設計を改良するために、基本的な部分を開発した。 本年度は、32ビットのワークステーションU-Stationを購入し、その上でUNIXのもとのCによってシステム開発を行った。並行処理の記述のため、CにAdaのランデブーのような機能を追加している。
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