炭酸ガスレーザは発振効率が高いので大きな出力が得られ、また水に対する吸収がきわめて良いので、大出力レーザ加工機用光源、あるいはレーザメス用光源に適している。しかしながら、光源からの光を効率よく、しかも可撓性をもって導く伝送路の開発は充分ではない。筆者等は、赤外電力伝送用導波路として誘電体内装金属中空導波路を提案し、一連の解析を行なってきた。本研究は、内装導波路の特性許価と製作を行なったもので、その実績は以下のようにまとめられる。 1.誘電体内装金属中空導波路の電力容量 中空導波路の電力容量を支配する要因として考えられるものは、空気の絶縁破壊と導波路の熱上昇である。CW光に対して前者によって制限される電力容量は後者のものよりもはるかに大きい。そこで、導波路の温度上昇に着目して導波路の最大電力容量を理論的に明らかにした。その結果、内装導波路は通常の金属導波路に比較して、約2桁程度大きな電力容量をもつことが明らかになった。 2.内装導波路の製作 大きな電力を伝送することを目的とし、最初に比較的太い内装導波路を製作した。これには、筆者等が新たに開発したゲルマニウムめっき法を用い、製作工程を従来に比較してはるかに簡略化した。 3.内装導波路の伝送特性の測定 50W出力の炭酸ガスレーザ装置を用い、管径4mm、長さ1mの導波路の損失特性、ならびに導波路に沿う温度分布を測定した。内装導波路は接続損失が少なく長尺化できること、金属導波路に比較して導波路の熱上昇が少ないことが確かめられた。 4.高効率結合器の設計 レーザ光源と導波路とのビームの広範囲な整合を企る為、レンズ系の設計を行なった。また、実験によりその有効性も確かめられた。
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