研究概要 |
波長10.6μmの大出力炭酸ガスレーザ光を可撓性をもって伝送することを目的とし、誘電体内装中空導波路の製作とそれに関連する研究を行なった。研究成果の概要は以下のようにまとめられる。 1.高周波スパッタリング法による誘電体内装導波路の製作 高周波スパッタリングを用い、誘電体としてゲルマニウム薄膜を形成し、その後に金属めっきを行ない、母材パイプをエッチング除去し内装導波路を製作する場合、低損失化を妨げる大きな原因の一つは、電気めっきによって発生する応力による導波路変形にあることが分った。高応力めっきの方が低応力めっきよりも導波路の低損失化に有利であることが分った。 2.ゲルマニウムめっきによる内装導波路の製作 ゲルマニウムめっき法を確立し、長さ1m,内径4mmのゲルマニウム内装導波路を製作した。出力40ワットのレーザ光を導波路に入射させ、導波路の長さ方向について温度分布を測定したが、内装導波路の場合には金属パイプ,ガラスパイプ等に比較して温度上昇も少なく、透過時性も良好な特性を持つ事が確認された。 3.中空金属導波路の電力容量 大きな光電力を中空導波路で伝送する場合、その容量は導波路に於ける温度上昇で制限される。誘電体内装導波路,金属中空導波路などの電力容量を明らかにした。また、温度上昇に関する従来の理論の見直しを行ない、実験事実を説明できる理論の構築を行なった。 4.電磁界理論 導波路がある基準系から摂動を受けた場合に、伝送波の位相定数をベクトル的に正しく得る一服手法を開発し、これを誘電体伝送路,中空導波路に応用した。
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