研究概要 |
本研究は、多機能新素材の非晶質磁性体(リボン,ワイヤ)のもつ著しく優れた機械的,電磁気的,化学的特質に着目し、工業用ロボットや自動車などの「メカトロニクス」分野やメディカルエレクトロニクス分野、セキュリティシステム分野などで強く要求されている高感度で高速応答性の多機能で高性能のセンサデバイスを多種類開発して、電気機器や機械システム、医療診断装置等のコンピュータによる電子計測・制御技術の高度化に寄与することを目的としている。かかる目的に対し、昭和60年度には次の研究実績を得ている。 (【i】)非晶質磁歪ワイヤのパルス発生機構とセキュリティセンサ素子への応用:非晶質磁歪ワイヤは水中超急冷で作製されたままで、微小交流磁界に対し、著しいパルス電圧および高調波電圧を発生することを当研究グループで発見した。この結果本ワイヤを盗難防止システム用センサ素子として実用化することが進展しており、パルス発生機構の解明が重要となった。ここでは大バルクハウゼン効果とMatteucci効果につき、磁区観察法を通して発生機構を基本的に解明した。 (【ii】)非接触式線形変位センサおよび心機図センサの開発:非晶質ワイヤ2磁心マルチバイブレータブリッジと微小磁石を組み合せた非接触線形変位センサを構成し、0.1μm〜5mmの変位で【f_(-3dB)】【〜!=】10KHzの高感度・高速性を得た。本センサを人体の胸壁振動センサ(心音センサ,拍動センサ,脈波センサ)に適用し、心臓弁膜症診断に適用し有効性を確認した。本センサを聴診器へ組み込む実験を行った。 (【iii】)高性能ロータリエンコーダの開発:工業用ロボットのアーム制御の高精度化のために、多極着磁リング磁石と多数個の非晶質微小磁心マルチバイブレータ磁界センサとを組み合せたロータリエンコーダの基本デバイスを構成した。本エンコーダのパルス発生個数は40個極磁石に対して10万パルス以上である。
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