当初開発した三次元測定機は、CCDカメラを搭載した自動測角儀をガイドフレーム上で移動させて目標物を視野の中に捉え、その移動距離と測角から、三角測量の原理を適用することにより、その三次元座標を求める方式であった。この方式によって20m程度の長さを有する部材を高精度で測定するには、長大でしかも精密なガイドフレームおよびカメラをターゲットに向けるための回転機構が必要となり、これがコストを著しく引き上げる要因になっていた。 この問題を解決するため、今回はCCDカメラを2台用意してこれらをそれぞれ目標物が視野に入るように設置し、両方のカメラから得られたデータによって三次元座標値を得る方式を採用することとした。この場合、座標値を決定するには2台のカメラの相互の位置関係を知ることが必要となる。この目的を果たすため、被測定物の後方に位置関係を予め精密に測定してあるターゲット群を設置しておき、これを被測定物とともに2台のカメラで撮像し、これをもとにカメラ自身の位置を割り出す方式を採用した。この測定法を採用したことにより、次に示す利点が生じた。 1.カメラを移動させるガイドフレームが不要となった。 2.視野を自由に選んでカメラを設置できるのでロータリーエンコーダが不要になった。 3.カメラを回転させる軸受け等が不要となった。 以上の利点はすべて測定のコストを大幅に引き下げる要因であり多大の経済的効果を生むことができた。 今年度はCCDカメラを2台購入し、上記の新測定法の検証実験を行なった。その結果、縦3m、横3m、高さ2m程度の範囲内にあるターゲットは、±0.2mm以内の精度で測定可能であることを証明できた。
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