本研究は、プレキヤスト床版にプレストレスを導入・解放するいわゆるPPCS工法で製作した合成桁クリープ現象に着目して、長期にわたる一連の実験的研究を行うもので、その概要は以下に示すとおりである。 (1)PC鋼線のリラクゼーション現象に関する試験:PPCS工法で不可欠な除荷荷重履歴を伴うPC鋼線のリラクゼーション特性を調べるため、自動追尾式の試験機によって、直径2.9mmのPC鋼線3本をより合わせたものについて試験を行っている。 (2)プレキヤスト・コンクリート床版のクリープ現象に関する実験:プレキヤスト床版模型2体にプレストレスを導入し、クリープによるひずみを測定している。 (3)PPCS工法による合成桁模型のクリープ現象に関する実験:単純合成桁模型5体、および、連続合成桁模型1体をPPCS工法で製作し、プレストレスの導入・解放量を種々変化させ、また後死荷重を作用させて、模型桁各部のひずみ、および、たわみの変動を測定している。 以上の測定は、現在、約4ケ月にわたって続行しており、連続合成桁のクリープ、あるいは、リラクゼーション現象に対する貴重なデーターを得つつある。 一方、粘弾性学に基づく解析も平行して進めており、実施設計に当って必要なPC鋼線のリラクゼーション率、および、プレキヤスト床版のクリープ係数をどのように設定すべきであるか、実験結果とも対比させて、あらゆる面から検討を進めている。 なお、上記の実験は昭和61年度も継続して行い、クリープおよびリラクゼーション現象の終了を確認する予定である。
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