本研究は近年副産されるフライアッシュの有効利用法を見い出すため、日本で副産される多種類のフライアッシュを用い、それらの表面形状や比重等のキャラクタリゼーションを定量的に評価し、フライアッシュの品質改良法、フライアッシュの流動効果とモルタル及びコンクリートの力学特性に及ぼす影響等について検討を加えた。さらに、フライアッシュのポゾラン反応性を評価する目的で、モルタルの促進養生を行い、コンクリートの圧縮強度と比較検討した。 本研究により得られた結果の主たるものは以下の通りである。 (1) 粒径の小さいフライアッシュはガラス質成分が多く、ほとんどの粒子が球形である。 (2) 未燃焼炭素の含有量は粒径の小さいフライアッシュ程少ないので、分級することによりフライアッシュの未燃焼炭素分を低減することができる。 (3) 未燃焼炭素分の低減、中空あるいは多孔質粒子の減少により、フライアッシュの比重は粒径の小さいフライアッシュ程大きくなる。 (4) ふるいにより適当な粒径以下に分級したフライアッシュは減水効果及びポゾラン反応性が大きいので、コンクリート用混和材としての性質が優れている。 (5) 分級したフライアッシュを混和したコンクリートの圧縮強度は、粒径が小さい程大きく、粒径が25μm以下のフライアッシュを用いることにより材令91日においてフライアッシュ無混和のものと同等以上の圧縮強度を示す。 (6) フライアッシュを50%混和し、80°Cの蒸気養生を行ったモルタルの圧縮強度は、長期材令におけるコンクリートの圧縮強度と良い相関を示すことから、ポゾラン反応早期判定法として蒸気養生の利用は有効である。
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