種々の堆積条件、応力系のもとにある砂地盤の応力-ひずみ関係を支配する諸要因の解明を目的として、一連の実験的および解析的研究を進めた。得られた研究成果は、以下のように要約される。 1.従来明確ではなかった正規圧密砂の液状化強度の特徴として次のような事実が示された。(1)相対密度が80%以下の状態では、両振幅ひずみの大きさによらない繰返し応力比-相対密度関係が成立する、(2)何回繰返しても液状化を発生させない繰返し応力比(限界液状化強さ)の値は、両振幅ひずみの大きさに影響されない、(3)このような限界液状化強さは相対密度の増加に対応して直線的に増加する。 2.飽和度(B値)の低下による液状化強度の増加は、主として微小ひずみレベルにおいて現れる。また適切な飽和砂の液状化強度を評価するためには、少なくとも0.95以上のB値を確保した室内動的試験が必要であることを示した。 3.内部状態変数として塑性ひずみ仕事量を考えると、繰返し載荷によって発生する過剰間隙水圧をかなりの精度で予測できることが見い出された。 4.非排水繰返しせん断時の有効応力経路の相似性に着目し、初期構造の影響を受ける第一サイクルの有効応力経路を評価すれば、液状化強度を簡単に予測できることを従来から提案している滑動面理論より明らかにした。 5.平面ひずみ条件下にある砂の応力-ひずみ-強度特性は、堆積面と最大主応力方向との関係のみならず、圧密条件によっても著しく変化することを見い出した。 6.種々の応力条件下で行なわれたねじりせん断試験から、主応力軸の回転の有無にかかわらず、平面ひずみ条件を満足する応力系はほぼ等しいことが示された。
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