研究概要 |
今年度は、前年度に引き続き動的体積変化自動検出装置の試作,液状化試験の精度の向上,データの自動処理システムの確立に重点を置き、研究が進められた。動的体積変化の自動計測については、容量型水位計の原理を用いてビュレット内の水位を測定する方法が、差圧計を用いる方法,あるいは、供試体に直接変形計測針を接触させる方法に比べるとくり返し荷重の周波数に依存せず、精度のよい計測が可能であることが明らかにされ、現在は、この方法を採用している。また、得られたデータは、マイクロ・コンピュータによって、自動的にフロッピーディスクにファイルされ、さらには、それらのデータをもとに、軸ひずみ〜くり返し回数,間隙水圧〜くり返し回数,応力〜ひずみ関係等が自動的に図化されるプログラムを開発した。このような自動計測,データの自動処理システムにより、従来は実験に際しては少なくとも3人、そして、データの処理には多くの時間と人手が必要であったものが、実験およびデータ処理を1人で精度よく、しかも、短時間に行うことが可能になった。 これらの成果をもとに、豊浦砂を試料とし、従来と同じ3種の応力経路を有するくり返し荷重を与え、液状化試験を行った。そして、相対密度が小さい場合には応力経路によって液状化強度が異なるが、相対密度が大きくなると応力経路の差異による液状化強度の差が小さくなることが明らかにされた。すなわち、埋立海底地盤のようなゆるい飽和した砂地盤では構造異方性による液状化強度の差に注意する必要がある。 しらすの埋立海底地盤を想定すると、沈降する過程で分級が生じるものと考えられる。したがって、今後は、粒径の差異にもとづくしらすの液状化強度の差異について研究を進めていきたいと考えている。
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