扇状地河川における洪水期間中の水衝部及び局所洗掘とそれを考慮した河道設計法の研究

1986 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 60850102
• 研究機関: 早稲田大学
• 研究代表者: 吉川 秀夫 早稲田大, 理工学部, 教授 (10016230)
• 研究分担者: 山坂 昌成 埼玉大学, 工学部, 助手 (20174641) ; 山田 正 北海道大学, 工学部, 助教授 (80111665) ; 福岡 捷二 建設省, 土木研究所河川部河川研究室, 室長 (30016472)
• キーワード: 扇状地河川 / 局所洗掘 / 護岸 / 流れの抵抗則 / 河床波 / 蛇行 / 交互砂州

研究概要

扇状地河川における抵抗則、水衝部及び局所洗掘に関する本年度の研究成果は以下の通りである。
1.水制近傍の局所洗掘機構を明らかにするとともに護岸に作用する流体力を評価するために、斜め突堤を有する開水路の壁面せん断力及び底面せん断力を測定し、その分布形状を定量的に明らかにした。また、鉛直側壁開水路及び傾斜側壁開水路における底面せん断力分布、壁面せん断力分布の差を実験的に明らかにし、理論的考察をもとにその推定法を提案した(吉川)。
2.護岸に作用する流体力を、単に護岸を粗面平板とした場合のせん断力で評価することには合理性を欠くため、要素としてのブロックまたは単純化した球に作用する抗力及び揚力を直接測定し、定量評価した。この結果、浮きブロックに作用する抗力は極めて大きく、また抗力の時間変動量も大きいため、護岸の安全度の評価は場所的平均流体力、時間的平均流体力だけからは行えないことを示し、護岸設計への指針を与えた(吉川、福岡)。
3.勾配変化点付近の土砂の浮遊機構とこれによる河床変動を予測するための基礎研究として、勾配急変点付近のの流れを実験的に詳細に測定し、底面境界層、内部境界層及び外層の流れの特性を明らかにし、せん断力の算定方法を開発した(吉川)。
4.流れの低抗則と密接にかかわる、河床波の発達、発達に関する実験的、理論的研究により、河床波の特性と河床波の発生、発達に及ぼす各種水理条件の役割を明らかにした(山田)。
5.河川蛇行部の局所洗掘機構を明らかにするために、直線水路では交互砂州が形成されない水理条件と直線水路でも交互砂州が形成される水理条件とについて、蛇行水路における河床の変化過程を実験的に調べ、平面曲がりによる局所洗掘と自励的な交互砂州による局所洗掘の相互作用を明らかにした(山坂)。

研究成果

• [文献書誌] 沢野久弥,吉川秀夫: 土木学会第41回年次学術講演会講演概要集. 第2部. 453-454 (1986)
• [文献書誌] 城衛,大貫博史,吉川秀夫: 土木学会第41回年次学術講演会講演概要集. 第2部. 517-518 (1986)
• [文献書誌] 沢野久弥,水野英人,福井〓孝,宮地勝彦,吉川秀夫: 第31回水理講演会論文集. 395-400 (1987)
• [文献書誌] 城衛,藤崎伸二郎,植松龍二,吉川秀夫: 第31回水理講演会論文集. 377-382 (1987)
• [文献書誌] 古川恵太,関根正人,萩原義孝,吉川秀夫: 第31回水理講演会論文集. 407-412 (1987)
• [文献書誌] 木崎茂,山坂昌成,池田駿介,水野谷紀昭: 土木学会第41回年次学術講演会講演概要集. 第2部. 335-336 (1986)
• [文献書誌] 山坂昌成,池田駿介,千代田将明: 土木学会第41回年次学術講演会講演概要集. 第2部. 399-400 (1986)
• [文献書誌] 山坂昌成,池田駿介,木崎茂: 土木学会論文集. 387号. (1987)
• [文献書誌] 首藤誠志,植松正伸,山田正,池内正幸: 第13回関東支部技術研究発表会講演概要集. 58-59 (1986)
• [文献書誌] 三浦明夫,南新作,山田正,池内正幸: 第13回関東支部技術研究発表会講演概要集. 60-61 (1986)
• [文献書誌] 斎藤廣康,正寳敏彦,山田正,重村利幸: 第13回関東支部技術研究発表会講演概要集. 64-65 (1986)
• [文献書誌] 植松正伸,首藤誠志,山田正: 土木学会第41回年次学術講演会講演概要集. 第2部. 417-418
• [文献書誌] 山田正,藤田睦博,竹本典道: 土木学会北海道支部論文報告集,第34号. 245-250 (1982)
• [文献書誌] 山田正,池内正幸,植松正伸: 第31回水理講演会論文集. 665-670 (1982)
• [文献書誌] 山坂昌成,池田駿介,福島邦彦,新谷太志: 土木学会第42回年次学術講演会講演概要集. (1987)