従来、航空写真から地形標高などの3次元情報を地図作成用の図化機を介して抽出していたが、本研究ではこの技術を活用してテレビ画像情報から被写体の3次元位置の情報をディジタルで解析するシステム開発をする。また、実験によりテレビ画像程度の解像力で、どの程度まで計測精度が向上可能かを究明する。本年度はまず、ステレオ・テレビ画像の計測用の色調空間の要素間の適用性の指針を定めるために色彩学で利用されているヘキサコンモデル、トライアングルモデル、キュビックモデルの3種の色調空間について検討し、各色調空間の要素変換アルゴリズムを開発した。そして、色調空間の要素間の変換を可能にした。この色調要素は9個存在するため、各色調要素ごとのステレオマッチング・アルゴリズムから各色調要素別の3次元測定の難易を誤マッチング量で評価した。この際使用したステレオマッチング法は相関法を用い、前処理として偏位修正を行っている。これらの研究の結果、色調要素として、G、B、R、L、Vなどが比較的誤マッチングの発生が少ない要素であるとの結論に達した。 次に、野外の画像データをリアルタイムで処理するためには画像データをアンテナを介して、無線で送信するシステムが不可欠である。このシステムを移動させるにはアンテナの送受信による無線画像データを取り込み画像メモリのデータを計算機側にデータ転送しなければならない。そこでドライバールーチンの開発をし、このルーチンの実用性を実験的に実証した。また、画像メモリ内のデータはミニコンピュータのDASD上に蓄積されるため、ステレオマッチング処理の高速化は困難である。そこで、ファイル転送により大型計算機のDASDに画像データを送り込む計画を立案し、HICS/Gの使用バッファ領域を拡張し、データ圧縮機能の削除等により、改良型HICS/Gを開発し、約20KBの速度でファイル転送可能とした。
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