昭和60年度は数値風洞の基本的構成要素である3次元乱流の数値シミュレーションシステムとシミュレーション結果の画像処理システムの基本的枠組を作ることを目的とした研究を行った。 乱流の数値シミュレーションについては、Large Eddy Simulationとk-ε型2方程式モデルにより建物周辺の3次元乱流場を予測するためのプログラムを作成し、比較的単純な形状の建物周辺の気流分布、ガスの濃度分布の計算を行った。又、これと同時に数値シミュレーションと同じ建物モデルを用いた風洞実験を行い、両者の結果を詳細に比較することにより、数値シミュレーションによる予測の有効性を確認するとともに、数値定数、境界条件、差分スキーム、メッシュ分割等の各種パラメーターがシミュレーション結果に及ぼす影響について調べ、これらのパラメーターの最適な設定方法に関する検討を行った。今後さらにこれらのパラメーターに関する検討を継続して行い、シミュレーションの予測精度を向上させていく予定である。 次に画像処理システムに関しては、ワークステーションApollo Domain DN550を中心とするシステムを購入し、大型計算機で計算されたシミュレーション結果を転送し動画像として表示するシステムを開発し、単独建物回りの流れ場を示すサイエンテイフィックアニメーションを作成した。又、流れ場を詳細に観察することが可能な画像処理システムの開発をめざして、コンピュータグラフィックスの手法を用いた流れの可視化手法に関して様々な検討を行った。
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