研究課題/領域番号 |
60850112
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡辺 慶輝 北海道大学, 工学部, 教授 (60002292)
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研究分担者 |
朝倉 国臣 北海道大学, 工学部, 助手 (20002305)
竹内 昌之 北海道大学, 工学部, 助手 (60001244)
中島 巖 北海道大学, 工学部, 助教授 (50001243)
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キーワード | グラウト工法 / 岩盤 / AE(Acoustic Emission) / き裂進展 / AE計測棒 / 減衰 / 伝播 |
研究概要 |
これまでグラウト施工時におけるき裂の開口をAE法により監視してきたが、比較的硬い岩盤の場合には注入圧、注入量および岩盤の変形等のパラメータとAE発生頻度との間には明らかな相関があることがわかった。しかし、軟弱な岩盤、特に風化した地層へのグラウト施工においては、AEが発生しても伝播過程で減衰して、AEの検出は不可能であった。 上述の計測結果に基づいて、本年度は主として軟弱岩盤に対するグラウト施工時におけるAE活動と岩盤変形の関係について研究を進めた。すなわち、軟弱岩盤の場合き裂進展に伴うAEを直接検出することは不可能であるために、人工材料のAE計測棒を岩盤内に埋設して、これから発生したAEと岩盤変形について計測した。この結果、以下の事項が明らかになった。 1.AEの発生頻度と地層の変形速度の間には線形関係が成立する。 2.AEの発生総数と岩盤の変形量の間にも線形関係が成立する。 3.上下のAEトランスデューサによって検出されたAE波の到着時間差からき裂が開口している箇所を判定することができる。 4.計測棒の深さ方向に対するAEの頻度分布から体積膨張を起こしている地層の厚さを決定することができる。 以上のごとく、人工材料のAE計測棒を岩盤内に埋設することによって岩盤の変形挙動に関する情報を得ることができるようになった。 なお、人工材料のAE計測棒をボアホールに挿入して直接セメントミルクを充填して埋設すると、人工材料内で発生したAE波も相当大きく減衰する。人工材料としてはなるべく低周波の大きな振動エネルギを放射する物質を選定したが、今後AE計測棒とボアホール周避の接触条件を改良して、伝播過程におけるAE波の減衰を防止する必要がある。
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