研究概要 |
1 カオリナイト,ディッカイト,パイロフィライト,セリサイト,モンモリロナイトに対するカルシウムイオンの吸着量を測定し、いずれの粘土鉱物に対しても、pHの上昇とともに吸着量は増大するが、中性pH付近でもかなり吸着することを認めた。石英に対するカルシウムイオンの吸着は中性pH付近ではおこらず、pH10.5以上で吸着量が急増することが認められており、カルシウムイオンはCa【OH^+】イオンとして吸着されるものと推察されているが、上記の粘土鉱物に対するカルシウムイオンの吸着は明らかに石英に対するそれと異なっており、粘土鉱物特有の同形置換にもとずく陽イオン交換能が関与しているものと推察される。 2. 各種粘土鉱物のカルシウム活性化後のオレイン酸ナトリウムによる浮遊性はpH8〜9に極小が認められるが、中性pH付近およびpH9以上のアルカリ性領域で大であることを認めた。中性pH付近での良好な浮遊性は、オレイン酸イオンが界面活性の高い酸性石けんに加水分解されるためであり、アルカリ性領域での高い浮遊性はカルシウムイオンの吸着量の増大と対応している。 3. 石炭とディッカイトの混合試料に対してカルシウムイオンによる活性化後、オレイン酸ナトリウムによりディッカイトを浮遊させる方法では混合されたディッカイトを充分に浮遊させることが可能であるが、20〜30%の石炭も同時に浮遊し、石炭の高い回収率が得られなかった。 4. 上記の石炭の浮遊性を抑制するために各種界面活性剤による石炭懸濁液の分散効果を検討した結果、非イオン性の界面活性剤は分散効果がほとんどなく、オレイン酸ナトリウム,硫酸ドデシルナトリウム,ドデシルアミン酢酸塩のようなイオン性の界面活性剤のある添加量において分散効果が認められた。
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