ラテライト及び含マンガン低品位鉄鉱石が鉱量的にみても、技術的にみても代表的未利用鉄資源といえるので、これらを対象に研究を進めた。ラテライトに関しては、フィリピンNonoc島の世界的規模のラテライト処理工場(加圧アンモニア浸出-水素還元法によりNiとCoを回収)の浸出滓のFeとCrの選別技術の確立を、含マンガン低品位鉄鉱石に関しては、ベトナムThai・Nguyen地区の鉱石のFeとMnの選別技術の確立をそれぞれ目標とした。 1. ラテライトについて (1) 74〜105μm粒群でFeは最小値を示し、それより粒度の増大または減少とともにFeは増加の傾向がみられる。【Cr_2】【O_3】はFeと逆の傾向を示す。なお浸出滓の粒度の上限は約300μm、-37μmの重量割合は約70%である。そして後者の内訳は、37〜30μm5%、30〜20μm10%、20〜10μm13%、-10μm42%である。 (2) 浸出滓(A)、(B)2試料の+20μmを4粒群に分け、磁束密度1200Gaussの条件で低磁場磁選を行った。浸出滓(A)の精鉱品位はどの粒群も57.2±0.3%の範囲に入るが、(B)のそれは51±2%となった。両浸出滓を通じ富鉱比が最大の粒群は74〜149μmで、(A)が1.25、(B)が1.33、それが最小の粒群は20〜37μmで、(A)が1.03、(B)が1.09である。 2. 含マンガン低品位鉄鉱石について (1) 脈石を分離する目的で、磁束密度5870 Gaussの条件で高磁場磁選を行った結果は次の通りである。Fe品位は、給鉱の37.4%から48.3%に向上した。不溶解残渣は31.6%から13.8%へ低下した。Fe実収率は75.4%、Mn実収率は80.2%であった。 (2) 選別に不利となる過粉砕を避けた上である水準(75%)以上の単体分離度を達成するには、149μm以下に粉砕することの必要を認めた。
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