断面が円形でない異形鋼管(楕円、長方形、十字形断面など)は主としてロールフォーミングによって成形されるが、各種用途を考えるとこれらの曲げ加工法の開発が重要となる。本研究におけるダイレス曲げ加工法は工具を用いないので、種々の形状の異形鋼管の曲げ加工が可能であるが、加工精度および加工限界の向上のためには如何に加熱幅を小さくし、最適な軸方向温度分布を与えるかが重要となる。そこで、各種異形鋼管の最適加工条件を明らかにするために、管材の軸方向表面温度を計測するとともに、加熱源が移動する熱伝導問題として取扱うことによって一次元定常熱伝導の解析解を導くことができ、測定値ときわめて良い一致を示すことが確められた。本手法によれば軸方向に数十ケ所の位置における表面温度の推定が、パーソナルコンピュータによって僅か1秒程度で計算することができる。 さらには、あらゆる方向への曲げ加工や任意の曲げ半径の設定が可能となるようなNC制御ダイレス曲げ加工装置の試作に取組んだ。本年度は主として制御回路の設計・組立てとともに動作特性の解析実験を行ったが、これらにより二次元形状制御の見通しを得ることができた。本年度は上記のNC制御曲げ加工装置の試作に力点をおくとともに、薄肉小径異形鋼管のダイレス曲げ加工実験を既製の装置を用いて数多く行った。これらは、ダイレス曲げ加工の対象範囲の拡大を図るとともに、高炭素鋼管の加工や加工部品の強靱化などを目指した加工による高付加価値化が目的である。そのため、S45C炭素鋼管の温間ダイレス曲げ加工や加工熱処理の適用などを試みた。 本年度は、上記の基礎的データを基にして、形状制御および材質制御が可能となるようなダイレス曲げ加工装置の試作を行い、装置の特性把握や改善などを行う予定である。
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